2006年05月05日

今回もすごかった、呉智英。犬儒派だもの

70949338.jpg呉智英のファンで毎回出版される本を楽しみにしているが、今回の著作「犬儒派だもの」もおもしろかった。
彼は漫画評論家としても有名だ。彼によると一番売れた本が「バカにつける薬」双葉社刊だそうだ。
あのソ連の崩壊を予言してチョット右で真のインテリゲンチャである小室直樹の一番弟子でもある。
彼の知識は金がないために、大半は図書館で仕入れた知識だそうだ。これが博学多岐。

犬儒派ってのはプラトンがいつも皮肉を言うディオゲネスを「狂ったソクラテス」と読んで、皮肉や奇行を行う哲学者達のことを総称したのだと言う。そうすると、この私も犬儒派ということになり、呉智英さんと同じ派閥ということになる。
彼の著作を簡単に表現すると、「日本語文章・用法についてのトリビアの泉」ということだ。
著者が新聞、週刊誌、エッセイでの日本語法について、皮肉を交えて噛みつくところは彼の真骨頂だ。
よく間違って大新聞などで書いている、正しいようで間違っている「すべからく」、「激を飛ばす」についての誤用など。

例えば、若いギャル達がよく使う、「チョー」についてのの考察。日本語のボキャブラリー数が数千程度の彼女達でも、日本語としての規則性・法則性を考えているということ。間投詞 (感動詞)には「チョー」をつけない。具体的には「チョーうれしい。チョーありがとう」とは言うが、「チョーお早う。チョーこんにちは。チョーいただきます」とは言わない。これは自分に生じた感情を表現している言葉だからだそうだ。
この後が面白い。「品がなく、未熟で、醜い、しかし、そんな言葉にも、言葉としての論理性がある。一方、言葉を操る仕事をしている知識人たちの言葉はどうか。彼らの言葉は論理的なはずであり、伝統に則った美しいものであるはずだが」と書いて、その後に、最近の岩波新書に文章を書いた人達についての皮肉をたっぷり書いている。これがおもしろいの何の。
まずは彼の著作をお薦めする次第だ。一度読んでみんしゃい。目からうろこです。

《呉智英の著作》

「犬儒派だもの」 双葉文庫
「知の収穫」双葉文庫
「危険な思想家」 双葉文庫
「現代人の論語」 文藝春秋
「ホントの話」 小学館文庫
「言葉の常備薬」双葉社
「言葉につける薬」 双葉社
「バカにつける薬」 双葉文庫
「賢者の誘惑」双葉社
「サルの正義」 双葉社
「封建主義者かく語りき」 双葉文庫
「大衆食堂の人々」 双葉文庫
「読書家の新技術」 朝日文庫
「インテリ大戦争 」JICC出版局
「封建主義、その論理と情熱」情報センター出版局

s_pan at 18:18│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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